価格改定・値上げ時の注意点、デメリット

販売促進

原材料の高騰が続く中、多くの業種で「値上げせざるを得ない」という状況が増えています。
しかし、いざ価格を上げるとなると、「お客様の反応が怖い」「売上が落ちるのでは」と悩む方も多いのではないでしょうか。
実は、値上げそのものよりも“伝え方”によって結果が大きく変わるケースが少なくありません。
この記事では、値上げをチラシで伝えるときに気をつけたいポイントと、信頼を保ちながら売上を守るための工夫を解説します。

既存のお客様・新しいお客様に与える印象

材料費の高騰を理由に値上げをするとき、注意しないとお客様の信頼を損ねてしまうことがあります。
とくに「なぜ値上げしたのか」がきちんと伝わっていないと、
「説明がないなんて不誠実だな」と感じられてしまい、反感を買ってしまうこともあります。

実際、あるお店では値上げの理由をしっかり説明しなかったせいで批判が集まり、
結果的にお客様が離れていってしまった例もあります。
また、新規のお客様にとっても、チラシでいきなり高くなった価格を見ると
「このお店、ちょっと高いな」というイメージがついてしまい、購買意欲が下がってしまうことも。

人は「値上げ」に対して「値下げ」よりずっと敏感です。
同じ金額の差でも、値上げのほうが強い抵抗感を持たれやすいといわれています。

だからこそ、材料費が上がったという事情があっても、
ただ価格を上げるだけでは「印象が悪くなる」リスクが高いんです。

そうならないためには、「伝え方」がとても大切です。
「仕方ないんです、材料が高くて」という説明だけではなく、
お客様が納得できるような説明や、感謝の気持ちをきちんと伝えることがポイントです。

マーケティングの専門家も、「原材料が高いから」だけでは企業側の都合にすぎず、
お客様には“価格以上の価値”を感じてもらえるような伝え方をすべきだと話しています。

つまり、「材料費が上がったので値上げします」ではなく、
「これまで以上に良い品質やサービスをお届けできるように努めます」といった形で、
お客様に“メリット”を感じてもらえるように伝える工夫が大切です。

そして、きちんと理由を説明し、感謝やお詫びの気持ちを添えることで、
値上げ後もお客様との信頼関係を保つことができるのです。

競合他店との比較で不利になるリスク

値上げをするときに気をつけたいのが、「他のお店との価格差」です。
もし自分の店だけが値上げをして、他の店が値上げをしなかったり、上げ幅を小さく抑えていたりすると、お客様は当然「じゃあ、あっちのほうが安い」と感じて流れてしまう可能性があります。

実際、あるお店では「原材料が高くなったから」と短期間で大きく値上げした結果、
お客様が一気に競合店へ移ってしまったという事例もあります。
やっぱり同じ品質なら「安いほうがいい」と思うのが自然ですよね。
特に価格に敏感な人ほど、その差にすぐ反応してしまいます。

お店側としても、「うちだけ値上げして大丈夫かな?」という不安は当然あります。
周りが価格を据え置いている中で、自分の店だけ値上げを発表するのは勇気がいりますし、慎重にならざるを得ません。

さらに怖いのは、長期的に見たときの影響です。
値上げで一時的に利益は上がっても、お客様が離れてしまえば売上が減り、
結果的に市場のシェア(占有率)が落ちてしまう可能性があります。
しかも、一度お客様を失うと、あとから競合も値上げしてもすぐには戻ってきてくれないケースも多いんです。

つまり、競合との価格差が大きくなると、その影響は長く続くおそれがあります。

だからこそ、チラシなどで値上げを伝えるときは、
周りの同業者の動きもしっかりリサーチすることが大切です。
もし他店が値上げしていないのに、自店だけ「値上げしました!」と書いてしまうと、
チラシを見比べたお客様から「こっちは高い」と思われてしまい、集客で不利になります。

とはいえ、どうしても値上げが避けられないこともあります。
そんなときは、他店との差が大きくなりすぎないように調整したり、
「うちはこの品質」「このサービス」「この保証があります」といった“価格以外の価値”をしっかり伝えることが大事です。

つまり、単に「高い」ではなく、「値段以上の理由がある」とお客様に納得してもらうこと。
品質の良さや丁寧な対応、アフターサービスなど、
他にはない強みをチラシで打ち出せば、多少値上げしても選ばれるお店でいられます。

チラシでの価格表示・伝え方の工夫と注意点

チラシで値上げ後の価格を載せるときは、どう伝えるかで印象が大きく変わります。
少し言い方を工夫するだけで、お客様に与えるマイナスの印象をやわらげることができます。

まず、「値上げ」という言葉はできるだけ使わないようにしましょう。
どうしてもネガティブな印象を与えやすい言葉だからです。
たとえば、「値上げのお知らせ」ではなく「価格改定のお知らせ」や「価格見直しについて」と書くだけでも、やわらかく伝わります。
同じ内容でも、受け取る印象がまったく違います。

ただし、やわらかく言うことと、ごまかすことは別です。
「どのくらい値上げするのか」「いつから変わるのか」をぼかしてしまうと、
逆に「何か隠してるのでは?」と不信感を持たれてしまうこともあります。
だからこそ、「○○円から○○円へ改定」「○月○日から新価格になります」など、
できるだけ具体的に書くのがおすすめです。
そうすれば、お客様も納得しやすく、安心して受け止めてくれます。

次に大切なのは、理由や背景をしっかり伝えることです。
単に新しい価格を載せるだけでなく、小さくてもいいので、
「※原材料の高騰により、やむを得ず価格を改定させていただきました。ご理解のほどお願い申し上げます。」
といった一文を添えると、誠実さが伝わります。

さらに、「これまでできる限り値上げせずに努力してきましたが、どうしても難しくなりました」といった
“努力してきた姿勢”を伝えると、お客様も「仕方ないね」と共感してくれることが多いです。

そしてもう一つの工夫が、ポジティブな情報を一緒に載せること。
たとえば、
「価格改定後も○年間の保証・アフターサービスはこれまで通り無料です」
「○月中のご注文は○○サービスを割引でご提供します」
といったように、値上げと同時に“お得”や“安心”を感じてもらえるようにしましょう。

こうした一文を添えるだけで、
「ちゃんとお客様のことを考えてくれている」と感じてもらえます。
また、「今後も品質向上に努めてまいります」「引き続きよろしくお願いします」といった
前向きな言葉で締めくくるのも効果的です。

つまり、チラシはただ価格を伝える場所ではなく、信頼をつなぐ場所です。
値上げの事実を伝えるだけでなく、「これからもお客様に良いサービスを届けたい」という想いを込めることで、
信頼関係を守りながら集客力を維持していくことができます。

売上や来店数への影響と実際の事例

値上げをすると、どうしても売上や来店数(問い合わせ数)が一時的に減ってしまうことがあります。
経済の基本でも「値段を上げると買う人が減る」と言われていますが、これは現場でもよくある話です。
「値上げしたらお客様が離れてしまうんじゃないか…」という心配は、どの業種でも共通しています。

たとえば、ある飲食店では値上げを発表したあとに「常連さんが来なくなった」「お客様が減ってしまった」という声が出て、
元の客数に戻るまでにしばらく時間がかかったそうです。

リフォーム業や製造業などの場合も同じで、チラシを見たお客様が「予算オーバーだな」と感じて問い合わせをやめてしまったり、
「もう少し様子を見よう」と時期をずらしてしまうことで、短期的に受注が減ることがあります。

だからこそ、値上げをするときは「売上がどれくらい影響を受けそうか」をあらかじめ想定しておき、
そのうえで対策を立てておくことが大切です。

具体的には、値上げ後の一定期間は

チラシやDMでこれまで以上に積極的にアピールする

離れたお客様を呼び戻すためのキャンペーンを行う

値上げ前後の反応をデータで比べて、宣伝方法をすぐ調整する

といった取り組みが効果的です。

実際の調査でも、値上げを行った企業の約半数が「売上減を補うための施策」を実施しているといわれています。
たとえば、新商品の投入や、割引クーポンの配布、期間限定キャンペーンなどです。

折込チラシでも、単に「値上げしました」と書くだけではなく、
次回使えるクーポンや期間限定の特典を一緒に載せることで、
「ちょっと値段は上がったけど、今ならお得だな」と感じてもらえる工夫ができます。

このように、値上げのデメリットを最小限にするには、事前の丁寧な告知と、事後のフォロー施策をセットで考えることが重要です。
お客様との関係を保ちながら、売上を落とさないように工夫していきましょう。

つまり、値上げは単なる価格変更ではなく、信頼とブランドイメージを守る戦略的な行動です。
誠実に説明し、お客様目線で対応すれば、「やむを得ない値上げ」も理解してもらえることが多いです。
そしてその姿勢こそが、長く愛されるお店・企業をつくるための一番のポイントです。

おわりに

値上げはどんな業種でも避けられない判断ですが、伝え方次第でお客様の受け止め方は大きく変わります。
チラシはただ価格を知らせるだけでなく、「これからも安心して利用してほしい」という気持ちを伝える場です。

理由を丁寧に説明し、感謝や誠意を添えることで、信頼関係を守りながら前向きな印象を残すことができます。
値上げはマイナスではなく、品質やサービスを守るための前向きな一歩として伝えていきましょう。