「チラシを配ってみたけれど、思ったほど反応がなかった」
これは、住宅リフォームやメンテナンス業界でよく聞かれる声です。
しかし、その原因は「チラシという手段が古いから」ではありません。
多くの場合、“短期的な反響だけ”を追い求める発想に原因があります。
チラシは「一発勝負の広告」ではなく、地域で信頼を積み重ねるためのコミュニケーションツールです。
すぐに問い合わせが来なくても、時間をかけて「思い出してもらえる存在」になることこそが、本来の目的です。
このブログでは、リフォーム・住宅メンテナンス業界でチラシ販促を行う際に大切な考え方として、
地域密着型の店舗が長期的に成果を出すための戦略をわかりやすく解説します。
リフォーム業界におけるチラシ販促の現状と課題

リフォームや住宅メンテナンス業界におけるチラシ販促には、他の業種にはない独特の難しさがあります。
その最大の理由は、**お客様の「検討期間の長さ」**にあります。
外壁塗装や水回りの改修、畳替えなどのリフォームは、洋服や食品のように「今すぐ買う」と決めるものではありません。
多くのお客様は、時間をかけて情報を集め、複数の業者を比較し、じっくりと検討したうえで依頼を決めます。
この「時間をかける性質」が、短期的な反響を前提にしたチラシ販促と相性が悪いのです。
結果として、多くの業者が「反応がなかった」と感じて、効果を実感する前にやめてしまうケースが後を絶ちません。
業界平均の反響率はわずか0.03〜0.07%
リフォーム・外壁塗装・住宅メンテナンス業界のチラシ反響率は、平均で 0.03〜0.07% と言われています。
つまり、1万枚配って3〜7件の問い合わせがあれば平均的とされる世界です。
この数字を見て「思ったより低い」と感じた方も多いかもしれません。
しかし、これはあくまで“問い合わせ”の数。
実際には、その中から見積もり、契約につながるケースもあります。
反響率が低いのは「お客様のタイミング」が理由
リフォームを検討するお客様の多くは、チラシを見た瞬間に動くわけではありません。
「いずれリフォームしよう」「今はまだいいかな」と思いながら、
チラシを保管したり、なんとなく記憶に留めておくだけ、というケースが大半です。
つまり、反響がないからといって「チラシが悪い」とは限らないのです。
むしろ、お客様の“タイミング”がまだ来ていないだけということも多いのです。
問題の本質は「継続しないこと」にある
この反響率の低さが示しているのは、
「1〜2回の配布で成果を判断してしまう企業が多い」という現実です。
チラシ販促を成功させるためには、まずこの数字を前提として受け入れる必要があります。
そして、“いかにお客様の記憶に残り、必要なタイミングで思い出してもらえるか”
この視点を持つことが、成果を出すための第一歩です。
実は、この「低い反響率」こそがチャンスでもあります。
多くの競合が「効果がない」と感じて撤退してしまうからこそ、
継続できる企業だけが信頼と受注を積み重ねていけるのです。
次のステップ:「そのうち客」への発想転換
この“反響率の壁”を乗り越えるために必要なのが、
次章で詳しくお伝えする「そのうち客」という考え方です。
チラシ販促を単なる「即効性のある広告」ではなく、
未来のお客様との関係づくりの第一歩と捉えること。
ここから、長期的な成果が見えてきます。
「今すぐ客」と「そのうち客」——潜在的なお客様に届くチラシとは

多くの業界では、チラシといえば「今すぐ客」を狙うのが一般的です。
たとえば、スーパーや飲食店のセール情報、期間限定キャンペーンなど、
見た瞬間に「行ってみよう!」と行動してもらうことを目的にしています。
しかし、「リフォーム業界の平均反響率が0.03〜0.07%」という現実を考えると、
この「即効性」を前提とした発想では成果を実感するのは難しいのです。
リフォーム業界では「そのうち客」が主役
リフォームや住宅メンテナンスのチラシで結果を出すためには、
「今すぐ問い合わせてくれる人」を探すのではなく、
**“そのうちリフォームを考える人”=“そのうち客”**に目を向けることが大切です。
この「そのうち客」とは、今すぐ依頼する段階にはないけれど、
将来的にリフォームを検討する可能性を持っている層のこと。
たとえばこんな方々です。
- 壁や床の傷みが気になっているけれど、まだ先送りにしている
- 実家のリフォームを考えているが、どこに頼むか決めていない
- チラシを見て「覚えておこう」と思うが、まだ動かない
このような方々に、早い段階で信頼を持ってもらえるかどうかがポイントになります。
「選ばれる立ち位置」を先に確立する
人は一度「信頼できそう」と感じたお店や人を、無意識に覚えています。
だからこそ、今すぐ反応がなくても、チラシを通じて「安心感」「誠実さ」「地元の専門店らしさ」を伝えておくことが重要です。
将来的にリフォームを検討しはじめたとき、
お客様の頭に最初に浮かぶのがあなたのお店であれば、
競合がアプローチする前に“選ばれる位置”を確立できるのです。
次章では、この「そのうち客」との信頼関係をどう築くのか、
実際に反響につなげるチラシの作り方と考え方を解説します。
「そのうち客」をターゲットにする3つのメリット

「そのうち客」と聞くと、「今すぐやってくれる人じゃないなら意味がない」と思う方もいるかもしれません。
でも実は、この“すぐには動かないお客様”こそ、長期的に見て最も価値の高い存在です。
ここでは、「そのうち客」をターゲットにする3つの大きなメリットを紹介します。
メリット① ライバルが少ない
「そのうち客」を集める最大の強みは、競合がほとんどいないという点です。
たとえば住宅業界を例に考えてみましょう。
お客様が住宅展示場を回ったり、パンフレットを請求したりする段階になると、
各社が一斉に売り込みを始めます。
その結果、情報が多すぎてお客様は混乱し、
「どこも同じに見える」と感じて、最終的には価格で決めてしまうケースが多いのです。
一方で、「そのうち客」の段階では、まだライバルが動いていません。
この時期に信頼関係や感情的なつながりを築くことができれば、
「いつかリフォームするときはこのお店にお願いしよう」と自然に思ってもらえます。
つまり、他社が動き出す前に、
すでにお客様の心の中で“勝負がついている”状態を作ることができるのです。
メリット② お客様との信頼関係を築きやすい
「そのうち客」は、今すぐ契約を迫られたくない層です。
だからこそ、焦らず誠実に情報を発信し続ける会社に安心感を抱きやすいという特徴があります。
たとえば、「すぐに契約してください」という内容ではなく、
「畳替えの目安や素材の違いを知っておくと安心ですよ」といったように、
お客様の立場に立った情報を届けることで印象は大きく変わります。
このように、役立つ情報を積み重ねることで、
「このお店は信頼できる」「丁寧に相談に乗ってくれそう」と感じてもらえます。
リフォームや住宅メンテナンスのように高額で慎重に検討されるサービスでは、
最終的に選ばれる理由は“価格”よりも“安心感”。
早い段階から誠実に接しておくことで、
競合が価格で争う前に、信頼で選ばれる関係を築くことができます。
メリット③ 「今すぐ客」へと育っていく
「そのうち客」は、時間とともに成長します。
最初は「ちょっと気になっている」だけでも、
情報を重ねるうちに興味が深まり、
自分で調べたり、比較したりする中で購買意欲が高まっていくのです。
定期的に情報を発信していくことで、
お客様の行動タイミングを早めたり、
最適な時期にアプローチできるようになります。
逆に「今すぐ客」だけを狙う広告は、
反応がなければすぐに諦めてしまう傾向があります。
結果として、広告費ばかりかさんでしまい、継続的な成果にはつながりません。
一方、「そのうち客」を丁寧に育てていけば、
中長期的に安定した反響と信頼を積み重ねることができるのです。
そのうち客を集めるための具体的な方法

「そのうち客」を集め、信頼を育てていくために大切なのは、
“売り込み”ではなく“関係づくり”を目的とした情報提供型アプローチです。
ここでは、今日から実践できる3つの方法を紹介します。
① 定期的な情報発信で「思い出してもらえる存在」に
「そのうち客」は、今すぐの購買意欲こそ低いものの、
実はすでに関心や興味を持っている層です。
この層には、役立つ情報を定期的に届けることが効果的です。
畳替え・外壁塗装・水回りリフォームなどのタイミングは人それぞれ。
だからこそ、情報を継続的に発信しておけば、
「そろそろお願いしようかな」と思ったときに、真っ先に思い出してもらえます。
たとえば、次のような発信内容が効果的です。
- 季節ごとの住宅メンテナンス情報
- 施工事例やビフォーアフター紹介
- 材料や工法の豆知識
- 無料相談会や見学会の案内
- ニュースレター(紙・メール)や資料送付
こうした情報は、「今すぐではないけれど、覚えておきたい」と思わせるもの。
**“信頼の貯金”**をコツコツと積み上げていくことが大切です。
② 情報ツールを活用し、「自分で選べる距離感」をつくる
「そのうち客」は、“売り込まれる”ことをとても警戒します。
だからこそ、お客様が自分のペースで情報を得られる仕組みを作ることが信頼構築の第一歩です。
ホームページやブログ、Instagram、LINE公式アカウントなど、
「いつでも見られる・自分で選べる」情報発信の場を整えましょう。
たとえば:
- 施工事例をまとめたブログ記事
- メンテナンス動画を投稿したSNS
- よくある質問を整理したホームページ
このように、「お客様が自分からアクセスできる距離感」を作ることで、
自然と警戒心が和らぎます。
そして、**売り込みではなく“知識を提供する専門家”**として認識されるようになります。
③ 「営業マン」ではなく「アドバイザー」として接する
お客様がまだ検討段階のときに「どうですか?」「今ならお得ですよ!」と迫ると、
多くの場合、「結構です」「今はいいです」と言われてしまいます。
一方で、「何かお困りのことがあれば、いつでもご相談ください」という
アドバイザー型の姿勢を取ると、反応は大きく変わります。
「資料をいただけますか?」
「畳の種類について教えてください」
「お願いするなら御社にお願いしたいです」
このように、お客様のほうから動いてくれる関係性が生まれるのです。
十分な知識と誠実な姿勢で接すれば、
あなたは“営業マン”ではなく“専門家”として信頼される存在になります。
その結果、**「頼むならあの人に」**という指名が自然と増えていきます。
おわりに:チラシは関係づくりのきっかけ
チラシを配っても反応がない」と感じるとき、
多くの方は「チラシはもう古い」と思ってしまいがちです。
しかし実際には、チラシは“即効性のある販促ツール”というよりも、
地域の中で信頼を育てるきっかけづくりのツールです。
とくにリフォームや住宅メンテナンスのような業界では、
お客様が行動を起こすタイミングは人それぞれ。
だからこそ、焦らず長い目で関係を築いていく姿勢が大切です。
「そのうち客」との信頼をコツコツと積み重ねていけば、
数ヶ月後、数年後に「やっぱりお願いするならこのお店」と選ばれるようになります。

